小さな赤色の実を持つクランベリーは、海外では古くから親しまれているフルーツ。しかし、まだ日本では、レーズンなどと比べると馴染みの薄いドライフルーツかもしれませんね。そんなクランベリーは今、栄養を多く含み健康や美容によいとして注目を集めているのです。
国内では、パンやクッキーなどに入ったドライクランベリーがよく見かけられるのではないでしょうか。強い酸味を持つのが特徴で、ワインとも相性が良くバーのおつまみに登場することもあります。
今回は、東京上野・アメ横で1956年から続くナッツとドライフルーツの専門店・小島屋の視点から、クランベリーの栄養や嬉しい効能についてご紹介してきましょう。
クランベリーとは?
クランベリーの原産・味について
クランベリーとは、北米の湿原帯を原産とするツツジ科の植物。その歴史はネイティブアメリカンの時代に遡り、食用だけでなく薬用にも使用されてきました。今もアメリカが最大のクランベリー栽培地で、秋になると1cmほどの小さな赤い実をつけます。北米地域の秋の感謝祭では、七面鳥に添えるソースにクランベリーが欠かせません。
クランベリーという名前の由来は、つぼみの形が鶴(crane)に似ていることにあります。ちなみに日本名を「ツルコケモモ」と言いますが、この「ツル」は鶴ではなく、「蔓(つる)」のような枝を持ち、苔のように地面に這うように育つことが由来となっています。
生の状態では水分が多く、酸味やえぐみも強く感じられ、糖度はあまり高くありません。そのため、ソースやジュースにするときなどは砂糖を加えて加工されており、ドライクランベリーも液糖につけて作るのが普通です。味は、甘味よりも酸味が強いのが特徴でしょう。
クランベリーは「ベリー」なの?
クランベリーは名前に「ベリー」と付いていますが、実は「ベリー科」という植物の分類はなく、果肉のある小さな実を食用とする植物の総称です。植物の科目は様々で、クランベリーはブルーベリーと同じツツジ科、ラズベリーやブラックベリーはバラ科に属します。
クランベリーに含まれる栄養素
それでは早速、クランベリーの栄養について見ていきます。
クランベリーの栄養成分表
100gあたり | ドライクランベリー |
カロリー | 308kcal |
タンパク質 | 0.17g |
水分 | 15.79g |
糖質 | 72.56g |
食物繊維 | 5.3g |
カリウム | 49mg | マグネシウム | 4mg |
鉄 | 0.39 |
セレン | 0.6μg |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 2.1mg | ビタミンB1 | 0.013mg | ビタミンB2 | 0.028mg |
ビタミンC | 0.2mg |
ビタミンK | 7.6mg |
ルテイン・ゼアキサンチン | 138μg |
【参考】Cranberries, dried -FoodData Central Search Results(USDA)
表からわかるように、クランベリーは食物繊維をはじめ、多くのミネラルとビタミンを含んでいます。またルテイン・ゼアキサンチンといったカロテノイドをはじめ、表にはありませんがアントシアニジンなどのファイトケミカル(強い抗酸化作用をもつ栄養成分)も豊富です。
クランベリーに特に豊富な栄養素として、食物繊維・ビタミンE・プロアントシアニジン・キナ酸が挙げられます。ここからは、これらの栄養素についてそれぞれ解説します。
豊富な『食物繊維』
食物繊維は便秘の解消に効果的として良く知られている栄養素です。しかし効果はそれだけではなく、腸内の環境を整える・血糖値の上昇を緩やかにする・コレステロールを下げるといった効果が認められており、今注目の成分なのです。
しかし、現代人はどうしても食物繊維の摂取が不足しがち。クランベリー100gに含まれる食物繊維は、1日必要量の約4分の1以上です。そのためクランベリーは、食物繊維を補い健康を維持するために有効と言えます。
抗酸化作用の『ビタミンE』
ビタミンEは、抗酸化ビタミンの1種であり、体の酸化を抑える強い抗酸化作用を持つことで知られています。がんなどの原因とされる過酸化脂質の生成を抑え、さらに血中コレステロールの酸化を防ぎ血管を健康に保つ働きがあります。
血管が丈夫になり冷え性や肩こりの解消に役立ちますし、また細胞の酸化を防ぐため、老化防止にも効果があります。
渋み成分『プロアントシアニジン』
プロアントシアニジンとは、植物の色素や苦味・渋みの成分であるポリフェノールの1種です。ポリフェノールにはもともと強い抗酸化作用がありますが、クランベリーに多い「プロアントシアニジン」はさらに働きが強く、抗炎症作用も持ち合わせています。
プロアントシアニジンの抗酸化作用により、悪玉コレステロールの生成が抑えられ血液循環が良くなります。そして抗炎症作用は腎臓に働くことがわかっているので、余分な水分や老廃物を排出してむくみを予防する効能もあります。
【参考】クランベリー -わかさの秘密
酸味を引き出す『キナ酸』
キナ酸とは、ファイトケミカルと呼ばれる植物に含まれる化学物質の1つで、かすかな酸味が特徴です。ファイトケミカルの種類は様々ですが、それぞれ健康効果があります。キナ酸は膀胱の感染症を予防したり、アルツハイマー型認知症を予防する効果が認められています。
【参考】キナ酸 -わかさの秘密
クランベリーの嬉しい効能
これらの栄養素を含むクランベリーには、一体どのような効果効能があるのでしょうか?今回は、大きく6つの効能にまとめてみました。
①便秘解消&整腸作用
食物繊維が豊富なクランベリー。実は食物繊維には2つのタイプ(不溶性・水溶性)があり、クランベリーにはこの2つの食物繊維がどちらも含まれています。不溶性食物繊維は、便のかさを増して腸を刺激しお腹を動かしてくれますし、水溶性食物繊維は便をやわらかくして便秘の解消を促してくれます。
さらに、これらは腸内に住む善玉菌のエサとなり、良い腸内細菌を増やして腸内環境を改善します。腸内環境が改善すると、免疫機能のアップや血中のコレステロールの減少、さらに肥満予防やデトックス効果など、体に良い影響がたくさんあることがわかっています。
②血糖値が上がりにくい
水溶性食物繊維は水に溶けて存在するため、血糖値の上昇を緩やかにする働きを持ちます。つまり急激なインスリンの分泌が抑えられるため、ダイエットや肥満予防につながります。
インスリンが適度に放出されることで糖尿病の予防にもつながりますし、高血糖を防ぐため糖尿病の患者さんの食事にもおすすめです。
③豊富なビタミンCで風邪予防
風邪予防といえばビタミンC。ビタミンCには、ストレスや風邪と闘う免疫力を高める効能があります。クランベリーのビタミンCは、生の状態でブルーベリーの約2倍。そのためアメリカでは、風邪にはクランベリージュースを飲むのがメジャーだそうです。
ドライクランベリー商品の一部は、加工段階のはじめに果汁をジュースとして絞ってから、残りを熱風で乾燥させている場合があります。しかしビタミンCは果肉部に多く、さらに熱で分解されてしまうので注意が必要です。この場合はビタミンCが残っていない可能性もあるので、果肉をそのまま使用したドライクランベリーを選ぶのがよいでしょう。
また、クランベリーに含まれるポリフェノールの1種が風邪症状を軽減するという研究結果もあり、クランベリーにはビタミンだけでなく、風邪予防に重要な成分が含まれていることが示唆されています。
【参考】
ビタミンCの働きと1日の摂取量 -健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団
クランベリーポリフェノールの摂取はヒトγδ-T細胞増殖を促進して風邪とインフルエンザに関連する症状の数を減少する:ランダム化プラセボ対照介入試験 -J-GLOBAL
④抗酸化作用でがんを予防
クランベリーには、ビタミンEやポリフェノール、ファイトケミカルといった抗酸化作用を持つ栄養素が豊富です。抗酸化作用とは、身体を酸化させる原因となる活性酸素の働きを抑える作用のことです。
活性酸素は様々な生理現象に必要なものですが、紫外線やたばこ・ストレスなどにより活性酸素が過剰になりコレステロールなどの脂質が酸化されると、がんや動脈硬化のリスクとなる過酸化脂質が生成されます。このため、抗酸化作用のある食べ物の摂取により生活習慣病が予防できるという研究が多くなされているのです。
【参考】
活性酸素と酸化ストレス -e-ヘルスネット(厚生労働省)
食事由来の抗酸化能と死亡との関連について -国立研究開発法人 国立がんセンター 予防研究グループ
⑤尿路感染症の予防に効果
尿路感染症とは、腎臓・尿管・膀胱・尿道などに病原体が侵入することで起こる病気です。高齢者に多いと思われがちですが、脱水や排尿回数の低下が原因で若い人にも起こる可能性も。特に女性は、尿道が短いので菌が入りやすく、尿路感染症のリスクが高いとされます。
クランベリーに含まれるアントシアニジンは、細菌が尿路壁に付着するのを防止し、尿路感染を防ぐ効果が証明されています。またキナ酸も、尿のpHを調節して菌の増殖を防ぎます。クランベリーはこの相乗効果で尿路感染症を予防してくれるので、トイレを我慢しがちな人にもおすすめです。
⑥アンチエイジングにもおすすめ
アンチエイジングとは、できるだけ老化を防いで、心身ともに健康で美しい状態を維持しようとすること。クランベリーは、体の健康を維持し老いを防ぐ意味ではもちろん、シミやシワを予防して美肌を目指す、つまり見た目の老いを防ぐのにも効果を発揮します。
クランベリーは抗酸化作用を持つ栄養素が豊富。抗酸化作用は紫外線ストレスを緩和し、シミやしわを防いだり、細胞を維持してハリを保つ働きがあります。また、ビタミンCにも日焼けを予防する美白効果があり、年齢を感じさせない美肌を目指すことができます。
クランベリーの食べ方
アレンジに使いやすい
ドライクランベリーは、食べ方が様々で手軽に使えるのが特徴です。パンやケーキに混ぜ込むのはもちろん、ヨーグルトやシリアルに入れて手軽に楽しむのも良いでしょう。ドライクランベリーはもともと砂糖が使われているので、そのまま煮込むとジャムにもなります。
1日の摂取量は?
クランベリーは多少食べ過ぎても特に健康を害することはありません。ただし、ドライクランベリーに関しては、砂糖を使用していることや水分が抜けてカロリーが高めであることから、食べ過ぎには注意しましょう。1日の摂取目安は30g程度。これなら100kcal以内ですので間食としても安心です。
おすすめクランベリーを紹介!
小島屋のクランベリーは素材と加工方法にこだわりがあります。多くのドライクランベリーはまず果肉がジュースとして絞られてしまいますが、こちらのクランベリーはまるごとクランベリーを使用。そのため果肉のふっくら感が残り、栄養も損なわれにくいです。じっくり乾燥させるため、甘味と酸味のバランスが良いのも人気の理由となっています♪
クランベリーで健康な毎日を
身体にも美容にも効能がたっぷりのクランベリー。手軽に使えるので、毎日少しずつ取り入れるのがおすすめです。クランベリーを食べて、健康な毎日を送りましょう♪
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クランベリージュースのうれしい効果
クランベリーは北アメリカでは、昔から健康に良い果実として知られていました。クランベリージュースはアントシアニジンによる抗酸化作用で、尿路感染症(膀胱炎など)の予防・改善に良いとされ、古くから飲まれてきているようです。 最近の研究では、生活習慣病の予防効果が期待されているジュースの一つです。
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よくある質問
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クランベリーは何に効きますか?
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クランベリーには、尿路感染症の予防効果があることが知られています。また、ポリフェノールやビタミンCなどの成分が豊富であり、抗酸化作用があります。このため最近の研究から、歯周病菌やピロリ菌の感染予防、生活習慣病の予防効果が期待されています。
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クランベリーの副作用は?
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クランベリーは一般的に安全で副作用は少ないとされています。ただし、かなり大量に摂取した場合は、下痢や胃の不快感を引き起こすことがあります。特に、ドライクランベリーに関しては、砂糖を使用していることや水分が抜けてカロリーが高めであることから、食べ過ぎには注意しましょう。1日の摂取目安は30g程度。これなら100kcal以内ですので間食としても安心です。
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クランベリーは膀胱炎に効く?
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クランベリージュースには、膀胱炎の予防に有効と言われています。昔からクランベリーは、北米では膀胱炎に対する民間療法として使われてきました。クランベリージュースに含まれるポリフェノールやプロアントシアニジンは、膀胱に付着した細菌を取り除く事に有効と研究が進められています。
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クランベリーの抗炎症作用は?
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クランベリーに含まれるプロアントシアニジンという成分は、抗炎症作用が期待されています。またクランベリーには、ポリフェノールやフラボノイドなどの抗酸化物質が含まれています。
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クランベリーの注意点は?
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クランベリーまたクランベリー加工品は、あまり注意点はなく安全に摂取できると考えられます。基礎疾患のある人や併用薬のある人が摂取する場合には注意が必要です。 クランベリーはシュウ酸を多く含むため、尿中のシュウ酸カルシウムが増加して腎臓結石のリスクが高まるとされています。
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膀胱炎 飲み物 何がいい?
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膀胱炎の人には、水分補給尿をたっぷりとする事が何より重要です。1日に1.5リットルは水を摂取しましょう。弱酸性の刺激の少ない尿にする為に、ハーブティーやクランベリージュースは抗炎症作用もありお薦めできます。
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クランベリー 一日何個?
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クランベリーは多少食べ過ぎても特に健康を害することはありません。ただし、ドライクランベリーに関しては、砂糖を使用していることや水分が抜けてカロリーが高めであることから、食べ過ぎには注意しましょう。1日の摂取目安は30g・10粒程度。これなら100kcal以内ですので間食としても安心です。