パンやお菓子にもよく使われる、甘くて美味しいレーズン。普段から何気なく食べているという人も多いのではないでしょうか?ご存知のように、レーズンはぶどうを乾燥させたもの。別名「干しぶどう」や「干し葡萄」とも言われ、美容や健康に良いと話題になっているドライフルーツの1種です。
レーズンは水分を蒸発させているので、栄養素がギュッと集約されています。食物繊維やミネラル等がたっぷりで、健康への効果もばっちりです。食べやすい美味しさと手軽さも特徴で多くの人から人気を集めていますが、その健康効果とは一体どんなものなのでしょうか?
今回は、東京上野・アメ横で1956年から続くナッツとドライフルーツの専門店・小島屋の視点から、レーズンの栄養や健康への効果について詳しく解説していきましょう!
レーズンとは?特徴や産地について
そもそもレーズンとは、「干しぶどう」や「干し葡萄」とも言われるように、ぶどうを皮ごと乾燥させて作られます。1kgのぶどうから作られるレーズンは、わずか200g。それだけ甘みや栄養素が凝縮されているのです。
レーズンのもとであるぶどうは、聖書にも多く登場します。古くから世界中で親しまれ、最も多く栽培されているフルーツです。そのため生産地も多数あり、種類も豊富なのが特徴。生産が多い国には、中国・イタリア・アメリカ・スペインなどがあります。
そのため、レーズンにも様々な種類・生産地があります。また皮ごと干しているのもポイントで、ミネラルや食物繊維などの栄養素の他に、色素成分であるポリフェノールを豊富に含んでいるのも特徴です。
レーズンに含まれる栄養成分
それでは、レーズンに含まれる重要な栄養成分について紹介しておきましょう。現代人が不足しがちな成分が多く含まれています。
食物繊維
食物繊維には、不溶性と水溶性の2種類があり、レーズンはどちらもバランスよく含んでいます。便通を整えるにはもちろん、糖の吸収を緩やかにしたり、腸内の環境を整える働きがあります。野菜や海藻などに多く含まれますが、どうしても不足しがちです。
【参考】食物繊維の分類と特性 -大塚製薬
鉄分
レーズンには、銅・マグネシウム・カルシウム・リンなどのミネラルが豊富ですが、中でも重要なミネラルに鉄分が挙げられます。
鉄分は、血液中で酸素を運ぶためのヘモグロビンを構成しています。全身に酸素を送るのを助け、貧血予防に役立つ栄養素です。レバーや海藻に多く含まれますが、こちらも現代人が不足しやすい栄養素になっています。
カリウム
カリウムは、体の水分バランスやミネラルの均衡を維持するのに重要なミネラルで、フルーツに多く含まれます。特にナトリウム調整に関わり、塩分(主にナトリウム)を摂りすぎたときには、余分な水分とともにナトリウムを排出してくれます。
また、夏には汗とともにナトリウムが排出されますが、実はこの時にカリウムも同時に出ていってしまいます。カリウムが不足すると食欲不振やだるさにつながるので、夏バテ予防にも重要な成分です。
ポリフェノール
ポリフェノールとは、植物が持つ色素や苦味の成分です。強い抗酸化作用を持ち、老化や生活習慣病を引き起こす活性酸素を無害化する働きがあります。ポリフェノールにも多くの種類があり、レーズンは特にエピカテキン(カテキンの一種)やアントシアニンが豊富です。
抗酸化能を表す指標に、ORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity)というものがあります。日常的に食べる果物・野菜の中で1食当たりのORAC値を比較すると、レーズンはORAC値が最も高いグループに入ります。レーズンは抗酸化作用が高い食品なのです。
ブドウ糖
レーズンなどドライフルーツは、甘いから砂糖が多い!と思われがちですが、実はレーズンには砂糖であるショ糖は含まれず、ブドウ糖と果糖が含まれています。これらは、ショ糖よりも吸収が早いので、すぐにエネルギーに変換されるという特徴があります。
レーズンの健康への効果
栄養素がわかったところで、具体的なレーズンの健康効果を確認しておきましょう。今回は、6つの効果にまとめました。
効果①がんの予防
今や2人に1人ががんになると言われる時代です。がんの原因は様々ありますが、その1つに活性酸素が挙げられます。人は紫外線を浴びたり、たばこ・酸化した食べ物を摂取することで酸化ストレスを受けています。すると細胞をサビさせる活性酸素が増えてしまうのです。
さらに、体内の脂質とくっ付いて過酸化脂質を形成すると、がん・免疫機能の低下・動脈硬化を引き起こします。つまり抗酸化作用の高いレーズンは、活性酸素の働きを抑え、これらの疾患を予防してくれるのです。
またレーズンのカテキンには、抗菌作用があり胃がんの原因となるピロリ菌も抑えてくれます。また、がんの増殖を抑える効果も期待されています。
効果②糖尿病の予防
2016年の厚生労働省の調査によると、「糖尿病が強く疑われる人・糖尿病の可能性が否定できない人」の人数は約2,000万人。糖尿病は放置すると様々な合併症を引き起こすので、予防が重要です。
基本的な予防には、バランスのとれた食事と適度な運動が必要とされています。レーズンはミネラルやビタミンを豊富に含むので、食事バランスを適正にするのに役立ちます。
さらに重要なのは、血糖値の急激な上昇を抑えることです。急激な血糖上昇は、インスリンを過剰に分泌させることになり、徐々にインスリンが効かなくなってしまう恐れがあります。
レーズンのエピカテキンと食物繊維には、血糖値の上昇を緩やかにする効果があり、糖尿病の予防に役立ちます。またカテキンには代謝を促して肥満を予防する効果もあるのでダイエットにもおすすめです。
効果③その他の生活習慣病の予防
その他にも生活習慣病は様々あります。例えば塩分の摂りすぎによる高血圧症は、さらに脳卒中や心筋梗塞などのリスクにもなります。レーズンにはナトリウムを排出してくれるカリウムを含むため、高血圧をはじめとする様々な生活習慣病を予防できるでしょう。
また、レーズンは脂質が低いのも特徴です。他のドライフルーツに比べても低脂質で、もちろんコレステロールは0です。そのため、動脈硬化や肥満の予防に嬉しい食材なのです。
効果④整腸&便秘解消効果
レーズンには、水溶性・不溶性の2つの食物繊維が含まれています。不溶性食物繊維は腸に刺激を与えて便通を整えますし、水溶性食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内細菌を育てて腸内環境を整えます。
腸内の善玉菌を増やし環境を良くすることは、肥満予防や感染症をはじめとする疾患の予防につながり、さらに認知・精神面にも良い影響を与えることが明らかになっています。
【参考】腸活で認知機能や心の健康を守る 腸と脳の深い関係 -日経ウェルエイジング
「腸から健康長寿」目指す 食物繊維を意識した食事を -日経ウェルエイジング
効果⑤貧血によるだるさの予防
貧血に関わるミネラルは、鉄分だけではありません。銅も造血に重要なミネラルになります。レーズンは、鉄分も銅も豊富に含んでいるので、貧血予防には有効と言えます。
貧血は、ふらつきやめまいなどの症状だけでなく、「なんとなくだるい」「疲れやすい」「動悸・息切れ」として表れることもあるので注意が必要。普段からこれらのミネラルを摂取することが重要です。
効果⑥運動時のエネルギー源にも
レーズンに含まれる糖分は、ブドウ糖・果糖であり吸収されやすいです。アメリカでは「クイックエネルギー」として、スポーツをする人のエネルギー補給によく使われています。
特におすすめはマラソン。即効性のあるエネルギーでありながら、食物繊維によって糖の吸収がゆっくり長く続くので、持続的にエネルギーを得ることができるのです。また、レーズンは小さく手軽に食べやすいのも魅力だそうですよ。
また、足の痙攣(足がつる状態)はカリウム不足が栄養していることもあり、レーズンによってこの症状を予防することにもなります。
効果アップのための食べ方&選び方
このようなレーズンの栄養を効果的に摂取するためには、どのような食べ方を意識すればよいのでしょうか?ここからは、レーズンのおすすめの食べ方や選び方を紹介します。
レーズンの1日摂取量
レーズンには効果がたくさんあるのですが、生のフルーツに比べると糖質やカロリーが高い食材になるので、食べ過ぎには注意が必要です。
おすすめの摂取量は、約1/2カップ=80g程度=約120~140粒です。この程度のレーズンを毎日摂取することで、ガンの予防や血糖値・血圧のコントロールに良い影響を与えるという研究がなされています。
ただ1/2カップのレーズンは、約250kcalとカロリーが高い!と思われる方もいるでしょう。確かに日本では、間食の目安は1日200kcalとされています。そのため、カロリーが気になる方は、100kcal程度=30~40gにしておくと良いですよ。
(ちなみに1/2カップのレーズンを毎日食べたことによる悪影響は、健常者では確認されていませんのでご安心を!ただし腎機能が悪い方は、カリウムの摂取過剰となるのでご注意ください。)
【参考】レーズンに結腸がんの予防効果 -カリフォルニア・レーズン協会
オイルコーティングについて
レーズンの選び方にもポイントがあります。ぶどうの種類が多数あるためにレーズンの種類も多数あることはお伝えしましたが、他にもポイントがあります。それは、オイルコーティングの有無です。
オイルコーティングとは、水分の蒸発を防いだり、レーズン同士がくっつかないようにする目的で、レーズンをオイルでコーティングすることです。もちろんそのまま食べられますが、オイルのにおいが気になったり、加工するのに邪魔になることも。例えば、しっかりと味を染みこませたいラムレーズンではオイルが邪魔になってしまいます。
一方、オイルコーティングされていないレーズンは、ぶどう本来の味わいのみをしっかり感じられるのが魅力です。オイルの風味が苦手な方や加工に使いたい人は、オイルコーティングされていないレーズンを選ぶといいでしょう。
おすすめレーズンとレシピ
ここで小島屋のレーズンを紹介させてください!
小島屋では、こだわりの産地から集めたレーズンを5種類をご用意。定番のカリフォルニア・レーズンはもちろん、まさに干しぶどう!といった枝つきレーズンやグリーンレーズンもあります。もちろん砂糖は不使用。オイルなしのレーズンも多数あるので、味に敏感な方でも美味しく食べていただけますよ。
また、レーズンを使ったアレンジレシピもご紹介しておきます。パンやクッキーなどお菓子に混ぜ込むのは定番ですが、実はレーズンは料理にも重宝するのです。
こちらはレーズンを使ったかぼちゃサラダ。レーズンには、甘みとともにほのかな酸味もあるので、塩を少量しか使わなくても風味のしっかりした味付けになります。カリウムも豊富なので、減塩食が必要とされている高血圧の方には特におすすめですよ。
手軽なレーズンは健康におすすめ!
美味しく健康効果もたっぷり得られるレーズン。毎日の生活にちょっとプラスするだけで、より健康に元気に過ごすことができます。お気に入りのレーズンを見つけて、ぜひ毎日の健康習慣にしてみてくださいね♪
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よくある質問
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レーズンは何に効く?
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レーズンには、豊富な食物繊維が含まれており、便秘の改善、それに伴う腸内環境の改善も期待されます。またビタミンBやミネラル、ポリフェノールなどが豊富に含まれており、免疫力アップをはじめ、高い抗酸化作用から、老化防止や生活習慣病予防も期待されています。
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干しぶどう は目にいいですか?
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干しぶどうには、ビタミンA、C、E、β-カロテン、カリウム、鉄、ポリフェノールなどの栄養素が豊富に含まれており、目の健康に良いとされています。特に、アントシアニンというポリフェノールが豊富に含まれており、疲れ目の改善に役に立ちます。
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レーズンは血糖値を上げるか?
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レーズンのGI値は低く、炭水化物(糖)の吸収が緩やかなため、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果があるとされています。また、レーズンには食物繊維やポリフェノールも豊富に含まれており、糖分の吸収を緩やかにする働きがあるため、適量であれば血糖値を上げることはありません。但し、果糖やブドウ糖などの糖分は多く含まれていますので、食べ過ぎれば血糖値をあげてしまいます。