クコの実といえば、杏仁豆腐のトッピングによく使われる小さな赤い実。見たことはあるけれど、実際には何の実なのかよくわからない‥‥という人も多いのではないかと思います。
中国料理や薬膳のイメージが強いクコの実ですが、実は今や健康や美容に重要な栄養が豊富なスーパーフードとして「ゴジベリー」と呼ばれ、世界のセレブや健康志向の人々から大注目を浴びている話題の食材なのです!
今回は、東京上野・アメ横で1956年から続くナッツとドライフルーツの専門店・小島屋の視点から、クコの実に含まれる栄養成分やその効果について解説します!また、使い方のイメージが湧かないという方も多いため、おすすめのレシピや活用術もご紹介しますので要チェックです♪
クコの実は何の実?
クコの実とは?原産はどこ?
クコの実とは、東アジア(特に中国北部やモンゴル)を原産とするナス科の植物の実です。秋になると1~2cmくらいの小さな赤い実を付けます。生の状態では潰れやすく扱いづらいので、古くから乾燥させて使用されてきました。
味については、特に生の状態ではナス科特有の苦みや生臭さがすることがありますが、乾燥させたものはほんのり甘みがあり臭みもなくなるので、食べやすいです。
クコの実の歴史
クコの実は、中国では約3000年以上前から「不老長寿の薬」として食べられ、世界三大美女の楊貴妃も愛用していたと言われています。ドライフルーツのように乾燥させたものは「枸杞子(クコシ)」と呼ばれ薬膳や薬に使用されていました。
また根や葉にも重要成分が含まれ、乾燥させたものは「地骨皮(ジコッピ)」や「枸杞葉(クコヨウ)」として、古来から現代にかけて滋養強壮や健胃のために使用されているようです。
現在ではスーパーフードとして世界中に知られることとなり、「ゴジベリー」や「ウルフベリー」という名前で広まっています。
クコの実に含まれる栄養とは?
まずは、クコの実の栄養成分について紹介します。まずは、クコの実と同じく中国で薬膳によく使用される「乾燥なつめ」と比較してみましょう。
可食部100gあたり | クコの実 | なつめ |
カロリー(kcal) | 387 | 287 |
タンパク質(g) | 12.3 | 3.9 |
炭水化物(g) | 75.3 | 71.4 |
食物繊維(g) | 13 | 12.5 |
カリウム(mg) | 1400 | 810 |
カルシウム(mg) | 47 | 65 |
マグネシウム(mg) | 77 | 39 |
リン(mg) | 180 | 80 |
鉄(mg) | 4 | 1.5 |
亜鉛(mg) | 1.2 | 0.8 |
銅(mg) | 0.69 | 0.24 |
マンガン(mg) | 0.71 | 0.46 |
βカロテン(μg) | 800 | 7 |
レチノール活性当量(μg) | 250 | 1 |
α-トコフェロール(mg) | 5.7 | 1 |
γ-トコフェロール(mg) | 0.8 | 0 |
ビタミンB1(mg) | 0.28 | 0.1 |
ビタミンB2(mg) | 0.4 | 0.21 |
ナイアシン(mg) | 0.32 | 0.16 |
葉酸(μg) | 99 | 140 |
パントテン酸(mg) | 0.71 | 0.86 |
ビタミンC(mg) | 9 | 1 |
【参考】日本食品標準成分表 2020年版(八訂)
※クコの実の食物繊維はeatsmartを参考
なつめもビタミンやミネラルを豊富に含むフルーツですが、上記の栄養成分表からはクコの実もなつめに全く劣らない(むしろそれ以上の)栄養素を含むことがわかります。ここからは特筆すべき栄養成分について、少し詳しく解説しておきましょう。
バランスが重要な『ミネラル』
ミネラルとは無機質とも言われ、5大栄養素の1つです。身体を構成する主な4元素(酸素・炭素・水素・窒素)以外の総称で、代表的なものとしてはカルシウム・リン・ナトリウムなどがあります。
それぞれ身体の健康を維持する様々な機能を持っており、多くのミネラルをバランスよく摂取することが重要です。クコの実には、たくさんのミネラルがバランスよく含まれていますが、特にカリウム・鉄・マンガン・銅・亜鉛・マグネシウムは、ドライフルーツの中でもトップクラスの含有量を誇ります。
目の健康に!『ビタミンA』
ビタミンAには、レチノールやレチナールといった成分が含まれます。また、緑黄色野菜などの入っているβカロテンも、プロビタミンAとしてビタミンAと同様の働きをします。食品成分表にビタミンAの項目はないですが、ビタミンAの量はレチノール量やカロテン量から計算される『レチノール活性当量』を見ると良いです。
ビタミンAには、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める働きがあります。クコの実はビタミンAが豊富で、目の健康によいとされています。
抗酸化作用のある『ビタミンE』
ビタミンEとは、トコフェロールやトコトリエノールと呼ばれる化合物の総称です。成分表にビタミンEという欄はなく、数種類のトコフェロール量が示されています。ビタミンEは強い抗酸化作用を持つことで知られ、活性酸素の働きを抑えて細胞の酸化を防ぎます。
そのため、老化予防やアンチエイジングに効果に効果的です。不足すると冷え性や肩こりを起こしやすくなります。
滋養強壮にも◎『ビタミンB群』
クコの実に豊富なビタミンB群には、ビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシン・葉酸・パントテン酸などがあります。ビタミンB群には様々な働きがありますが、主にエネルギー代謝・産生に関わることが多いです。
そのためクコの実は滋養強壮剤としてもよく利用されています。また葉酸は細胞分裂にも重要であり、妊娠初期に摂取することが推奨されています。
アミノ酸の1種『ベタイン』
表にはありませんが、ベタインというアミノ酸も豊富です。ベタインには、肝臓への脂肪沈着を抑え脂肪肝を予防する働きや、小腸から糖が吸収されるのを防いで血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。コレステロール値の上昇を抑制する働きもあることから、糖尿病や動脈硬化などの疾患の予防に効果があります。
また保湿効果があることから、「トリメチルグリシン」という名前で化粧品にも使用され、肌や髪のうるおいを守る働きも果たしています。
カロテノイドの『ゼアキサンチン』
こちらも表にありませんが、カロテノイドという色素成分の1種であるゼアキサンチンも豊富です。カロテノイドは、強い抗酸化作用を持つことで知られており、活性酸素を取り除いて身体へのダメージを少なくしてくれます。
また、クコの実に含まれるゼアキサンチンは、ブルーライトなどの有害な光を吸収して眼を守る働きがあり、眼病を予防するのに重要です。
【参考】ゼアキサンチン -わかさの秘密
クコの実の効果・効能とは?
抗酸化作用でエイジングケア
抗酸化作用とは、ストレスや紫外線などのストレスにより増えてしまった活性酸素の働きを抑える作用のこと。活性酸素は細胞や組織を酸化させることで、身体に有害な化合物を作り老化を促進させてしまうのです。
クコの実には、抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンA・Eが豊富で、カロテノイドも含まれています。そのため抗酸化作用が強く、老化・病気の予防やエイジングケアに効果があるとされています。
滋養強壮で疲れ知らずに!
クコの実には、各種ビタミンとミネラルが豊富に含まれています。これらは、効率的に代謝を促しエネルギーを作り出すため、疲れを回復させたり、そもそも疲れにくい身体にしてくれます。またビタミンCも含まれているので、免疫力のアップも期待できるでしょう。
糖尿病の予防に
アミノ酸の1種であるベタインは、血糖値の上昇を抑える効果があるので糖尿病の予防に効果があります。またクコの実の糖質量は他のドライフルーツに比べてやや少なめ(100gあたり62.3g。対していちじくは約72g、ブルーベリーは約70g)なのも、ダイエットや糖尿病予防に嬉しいですね。
また動脈硬化を予防し肝臓の機能も高めますので、心疾患や肝硬変、肝がんの進行を遅らせるのにも効果があるとされています。
【参考】ベタイン -わかさの秘密
現代人を悩ませる眼精疲労にも
クコの実に豊富なビタミンAとゼアキサンチンは、どちらも目の健康を守るのに重要な働きをします。ブルーライトや紫外線にさらされやすい現代人には重要な成分だと言えるでしょう。ちなみに、中国ではクコの実は「明眼子」とも言われ、眼精疲労などに効く生薬としても使われています。
女性に嬉しい美容効果も!
クコの実には、健康効果だけでなく美容への効果もあります。クコの実に含まれるビタミンB2は、美容のビタミンともいわれており、皮膚・髪・爪などの細胞の再生に関わっています。そのため口内炎や肌荒れ治療薬にもよく使用されていますね。
またベタインには保湿効果もあり、お肌や髪のうるおいを守ってくれます。さらに大手化粧品会社の資生堂も、クコの実のエキスに注目し研究を重ね、美白効果が発見されています。お肌のシミやハリに効果があるのは、女性にとってかなり嬉しいでしょう。
さらに代謝に関わるビタミンも多く含まれますので、摂取した糖質をエネルギーに変えてくれる効果もあります。そのため、ダイエットにもおすすめです。
【参考】資生堂、「枸杞(クコ)の実」エキスの経口摂取による新たな美白効果を発見
ビタミンB2の働きと1日の摂取量 -公益財団法人長寿科学振興財団
おすすめクコの実&食べ方やレシピ
おすすめのクコの実
ここで、小島屋のクコの実を紹介しておきます。
小島屋では、等級の高い大粒のクコの実を扱っています。もちろん機械乾燥でなく天日乾燥で仕上げており、無添加タイプです。砂糖も使っていません。生産は中国北西部の寧夏地域ですが、ここは原産の東アジアの中でも有名な生産地であり、ここのクコの実は高級品として扱われているのですよ。
クコの実のレシピ
クコの実はもちろんそのまま食べるのも良いですが、ヨーグルトやスープに入れてふやかしていただくのもおすすめです。少し水分を含むことでやや甘みが増しますよ。その他鶏肉料理のトッピングや、ラーメンや鍋に入れても合いますのでお試しください♪
ここで、ドリンクのアレンジメニューを紹介しておきます。こちらはクコの実やその他のドライフルーツをブランデーに漬け込んだだけのお手軽ドリンクですが、美容によいとされるビタミンやミネラルがたっぷりなのでおすすめです。
クコの実を食べる時の注意点
クコの実は、糖質が少なめとはいっても生のフルーツよりは糖質量もカロリーも高いので、食べ過ぎには注意しましょう。具体的には1日20~30g程度に抑えると良いです。
また微量ながらアルカロイドという有毒成分も含まれていますので、毎日のように食べ過ぎると身体に影響があることもあります。といってもクコの実はトッピングや混ぜ込みに使う程度と思います。この程度なら毎日とっていただいても問題ないのでご心配なく!
クコの実を生活に取り入れて美しく健康に
クコの実には、たくさんの栄養素と効果効能があるとお分かりいただけたと思います。様々なおやつやお料理のトッピングにも使いやすいですので、ぜひ試してみてください!
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よくある質問
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クコの実の効果的な食べ方は?
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最も一般的な食べ方は、そのまま食べる事です。特にナッツとの相性がよく、素焼きのナッツと混ぜて食べると、クコの実のほんのりした甘みが良いバランスになります。
クコの実はこちら
クコの実と相性の良い素焼きミックスナッツはこちら -
クコの実のダイエット効果は?
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クコの実には代謝に関わるビタミンが豊富に含まれています。ビタミンB1やB2が含まれており、摂取した糖質をエネルギーに変えてくれる効果もあり、運動と合わせてお召し上がり頂くと、ダイエット効果がより見込めます。
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クコの実 一日 何個?
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クコの実の1日の摂取目安は20g~30g程度です。中国の古典薬学書では副作用の少ない薬として紹介されておりますが、カニとの食べ合わせは悪いという説もあります。抗凝血剤などのお薬を服用している方は、クコの実を摂取する際は、医師とご相談をされてみてください。
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クコの実の血糖値への効果は?
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クコの実に含まれるベタインは、血糖値の上昇を抑える効果があるので糖尿病の予防に効果があります。またクコの実の糖質量は他のドライフルーツに比べてやや少なめなのも嬉しいですね。また、ベタインには脂肪肝を予防する働きや、コレステロール値の上昇を抑制する働きもあることから、糖尿病や動脈硬化などの疾患の予防に効果があります。
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クコの実のデメリットは?
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中国の古典薬学書では副作用の少ない薬として紹介されておりますが、カニとの食べ合わせは悪いという説もあります。また薬剤との相互作用の可能性があるので、抗凝血剤などのお薬を服用している方は、医師とご相談をされてみてください。また微量ながらアルカロイドという有毒成分も含まれていますので、特に妊婦さんがクコの実を摂取する際も、医師に相談するようにしましょう。