様々な料理で活躍する松の実。バジルソースを作る時には欠かせなかったり、他にもペペロンチーノや炒め物に使ったりもしますね。もちろん、そのままでおやつにすることもできるお手軽な食べ物です。最近ではスーパーでも買えるメジャーな食品となり、美意識の高いモデルさんも愛用していると話題になっています。
また松の実には栄養素が豊富に含まれており、古くから多くの人々に愛されてきました。約2000年前の中国の書物には、すでに松の実が登場し漢方や薬膳に利用されています。別名「仙人の食べ物」とも呼ばれ、健康面など体に嬉しい効果をたくさん持ち合わせているのです。
そこで今回は、東京上野・アメ横で1956年から続くナッツとドライフルーツの専門店・小島屋の視点から、松の実の効果・効能やおすすめの食べ方について詳しく解説していきましょう!
松の実は「松ぼっくり」の実!
松の実とは?
そもそも松の実は、松の木の実である「松ぼっくり」の中にある種の一部を取り出したものです。種の中でも養分を多く含んでいる「胚乳」という部分にあたるため、栄養素がたっぷり含まれているというわけです。
松といえば日本のイメージが強いですが、実はヨーロッパやロシア、東南アジアなど世界中で自生しそれぞれ種類が異なります。日本の松の木の多くはアカマツやクロマツという種類で、これは粒が小さくあまり食用にされません。日本で主に食用となるのは、朝鮮半島に生息する「五葉松の実」という種類になります。
どこで売ってる?
最近はネット通販だけでなく、スーパーにも松の実が置かれています。松の実は薬膳にも使われており、中華料理や韓国料理によく登場するためか、中華料理のコーナーに置かれていることが多いです。
薬膳からみた松の実
松の実は、古くから仙人になれる食べ物とされ、「海松子」「松子仁」「松子」という名前で漢方薬や薬膳に利用されてきました。ここで少し、東洋医学から見た松の実の効果について少し見ておきましょう。
「温」×「甘み」~体を温める~
薬膳で基本となる考え方に陰陽があります。松の実は「陽の食材」で、体を温める食べ物とされます。また、味を5つに分類する五味という考え方では、「甘味」に分類され、胃腸に働きかけ食欲増進・解毒作用に効果があるとされています。
五行説では「土」~体を潤す~
東洋医学に基づいた薬膳では、自然界の物質を「木・火・土・金・水」に分類します(五行説)。松の実は「土」の分類であり、植物を育てて溜める、つまりは雨の恵みを得る性質を指します。そのため、松の実は体の乾燥を防ぎ、乾燥から来る空咳や便秘に効能があるとされています。
松の実が持つ6つの効果効能
薬膳は先人の経験から作り出されてきた知恵ですが、松の実は実際に、健康に重要な多くの栄養素を含むことがわかってます。ここではそれらの栄養をもとに、松の実の効果効能を6つにまとめてご紹介しましょう。
(※松の実に含まれる具体的な栄養素については、以下の記事もご参考にどうぞ↓↓)
≪松の実は美容効果たっぷり!健康や育毛にも効果が?栄養成分やおすすめの食べ方を紹介!≫
効果①生活習慣病の予防に
生活習慣病とは、糖尿病やがん、動脈硬化を原因とする心疾患・脳血管疾患などの疾患の総称です。これらの発症には、活性酸素(体を酸化させる物質)が体の細胞を傷害することが関係しているとされています。
そこで重要なのが抗酸化作用を持つ成分。抗酸化作用とは、名前の通り酸化に抗う働きのことです。松の実に含まれるオレイン酸は、活性酸素の働きを抑える抗酸化作用をもっており、これらの生活習慣病を予防します。また、松の実に豊富なビタミンEにも同様の抗酸化作用があります。
ちなみにオレイン酸とは、不飽和脂肪酸という良質な脂質。松の実には他にも、リノール酸という不飽和脂肪酸が含まれ、これらの不飽和脂肪酸には血中のコレステロール値を下げる効果が認められています。動脈硬化のリスクが下がるので、心疾患や脳血管疾患の予防に効果があります。
効果②炎症やかゆみの抑制に
不飽和脂肪酸には他にも種類がありますが、中でも松の実に特有な「ピノレン酸」の働きは重要です。これは松の実にしかない脂肪酸とされ、炎症やかゆみを抑える作用があります。アトピー性皮膚炎によるかゆみを抑える効果もあるとする研究もあり、アトピーやアレルギーによるかゆみの軽減に効果が期待されています。
効果③貧血の予防に
貧血と言えば重要なのは鉄分です。松の実には豊富な鉄分が含まれており、貧血の予防に役立ちます。また、血液を作るには原料になるタンパク質も重要ですが、松の実に含まれるタンパク質は全体の15%であり、その量は豆腐の約2倍の多さです(100gあたり)。また赤血球を作る葉酸も含みます。
効果④髪を健康に保つ
松の実に豊富な亜鉛には、毛髪の主成分である「ケラチン」というタンパク質を合成する働きがあります。そのため髪にツヤを与え、潤ったサラサラ髪にする効果があるのです。また亜鉛は、育毛の分野でも注目されており、髪を強くし、薄毛を改善する効果も期待されています。
効果⑤アンチエイジング効果も
アンチエイジングには、細胞の老化を防ぐことが重要です。ポイントは抗酸化作用。この作用は生活習慣病の予防にも有効ですが、美容面でも重要視されています。
細胞酸化の原因の1つに紫外線が挙げられます。紫外線といえば美肌の大敵ですよね。オレイン酸やビタミンEといった抗酸化物質は、紫外線の刺激をカバーし、シミやシワができるのを防いでくれるのです。
効果⑥ダイエットにもおすすめ!
「松の実ダイエット」とは、有名モデルも実践しているダイエット法。持ち運びに便利な松の実を間食に摂り入れているそうです。実際、松の実は食物繊維が豊富なので腹持ちが良いうえに、松の実特有のピノレン酸には食欲抑制ホルモンの分泌を促す作用もあるため、食べ過ぎを防ぐことができます。
また、エネルギー作りを促すビタミンB群やミネラルも豊富であるため、代謝が上がり脂肪を燃焼しやすくする効果も期待できます。まさにダイエットにおすすめの食材といえるでしょう。
おすすめの食べ方
松の実の健康・美容効果を最大限に引き出すにはどのような食べ方をすればよいのでしょうか?ここでは、食べ方の注意点や、「そのまま食べるのに飽きてしまった!」という方におすすめのレシピをご紹介しましょう。
1日の摂取量は?
松の実は100gあたり690kcalとカロリーが高めの食材なので、食べ過ぎには注意が必要です。間食の目安は200kcal以内とされていますので、他の間食(飲み物など)も考慮すると1日の摂取量目安は10~20g(約70~140kcal)でしょう。1粒0.2g=1kcal程度なので、10gだと50粒くらいになります。
おすすめ松の実のご紹介
小島屋では、特選・特級AAと呼ばれるハイグレードのものを仕入れていますので、ふっくらと大粒で香り高い松の実をお楽しみいただけます。甘味があるのでそのまま食べても美味しいですし、ローストしておつまみにするのもおすすめです。
松の実レシピいろいろ
松の実と言えば、ダイエット目的でそのまま食べたり、砕いてジェノベーゼにするといった食べ方がメジャーですが、炒めたりヨーグルトに入れても美味しく食べられます。ここでいくつかレシピをご紹介します。
~松の実とバジルのジェノベーゼ~
まずは王道ジェノベーゼの定番レシピ。松の実とオリーブオイルの相性は良く、イタリアン料理にも多く使用されますね。松の実をパスタのトッピングに使うのも、食感が楽しめておすすめです。
~松の実とホウレン草のオリーブオイル炒め~
松の実を具材と炒めるだけでもおすすめ。最初によく煎って香りを引き立たせるのがポイントです。シンプルな味付けで、ワイン好きにもおすすめできる一品です。
松の実を取り入れて健康効果を!
健康や美容に嬉しい効果をたくさん持つ松の実。手軽に使えますので、ぜひ間食や料理に取り入れていろいろな食べ方を試してみてくださいね!
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よくある質問
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松の実の食べ過ぎは?
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1日の摂取量の目安は、10g程度と考えておきましょう。松の実の食べすぎは、逆にコレステロールを増やしてしまうため注意が必要です。また松の実は脂質が多く酸化しやすいので、保存するときは密閉してできるだけ冷蔵庫か暗所に保存しましょう。
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松の実は 何から取れる?
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そもそも松の実は、松の木の実である「松ぼっくり」の中にある種の一部を取り出したものです。 種の中でも養分を多く含んでいる「胚乳」という部分にあたるため、栄養素がたっぷり含まれているというわけです。
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ナッツの鉄分ランキングは?
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【1位】かぼちゃの種 【2位】松の実 【3位】カシューナッツ 【4位】アーモンド 【5位】ひまわりの種
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松の実は何に効きますか?
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松の実には、リノール酸やピノレン酸、良質なタンパク質、鉄分、亜鉛、抗酸化物質といった栄養が豊富です。そのため、生活習慣の予防、炎症やかゆみの抑制、貧血予防、髪を健康に保つ、アンチエイジング効果、ダイエット効果といった効能が期待できます。
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松の実の生産地はどこですか?
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松といえば日本のイメージが強いですが、実はヨーロッパやロシア、東南アジアなど世界中で自生しそれぞれ種類が異なります。日本の松の木の多くはアカマツやクロマツという種類で、これは粒が小さくあまり食用にされません。日本で主に食用となるのは、朝鮮半島や中国に生息する「五葉松の実」という種類になります。現在輸入されているのは中国産が多いです。
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松の木の実を何と言う?
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松の木の実は「松ぼっくり」や「松笠」といわれ、針葉樹に特有な球形の実の総称である「球果」の1つです。松の実は、その球果の中にある種の一部を取り出したものです。種の中でも養分を多く含んでいる「胚乳」という部分にあたるため、栄養素がたっぷり含まれているというわけです。