最近、いろいろなお店でお肉を使わない「ベジメニュー」を見かけるようになりました。ファストバーガーショップでのソイミート、お肉を使わない餃子やラーメンなどがこれにあたります。カフェでも植物性のミルク(アーモンドミルク・豆乳など)を選べたりしますね。
これまで、プラントベース(=植物由来の原材料のみ)のメニューは「ヴィーガン」「ベジタリアン」など、宗教や動物愛護といった信条を持つ人のためのものとされてきました。しかし、最近では植物性食品の健康・美容面の効果も知られるようになり、この効果を期待してベジフードを取り入れる人も多くいます。
今回は、そんな植物性の食べ物にこそ含まれる、体に良い栄養素を解説。また、ベジフードで栄養不足にならないのか?と思われる方のために、栄養豊富で身近なベジフードである「ナッツ」を紹介しながら、不足しがちとされる栄養素を補う方法も紹介しましょう。
なぜベジフードが人気なの?
ベジフード人気の理由
ベジフードとは、肉や魚を使わない、穀物や野菜・豆類など植物性の原材料を使った食事のことです。プラントベースフードとも言われ、今世界中で注目を集めています。
肉中心の食事ではなく野菜中心の食事に注目が集まってきている理由として、1つには健康への意識の高まりが挙げられるでしょう。また最近では、動物保護・食糧危機、さらに肉類が及ぼす地球環境への負荷などの関心から、ベジフードに注目している人も増えてきていますね。
植物性食品の健康効果
植物性の食事と聞くと、精進料理のように「他人のために我慢する修行」といったようなイメージを持たれるかもしれません。しかし、ベジフードを取り入れることは自分の利益にもなります。その代表的なものが、健康への効果です。
普段の生活で野菜が不足していませんか?野菜や果物といった植物性の食べ物を増やすことには、動物性の脂質の摂取を控えつつ、ビタミンやミネラルなど不足しがちな栄養を摂れるというメリットが。そんな植物性食品には、以下のような健康効果があります。
・2型糖尿病の発症リスクが20%低下(糖尿病リスクが34%低下)
・推奨量の2倍の野菜・果物で、心筋梗塞・脳梗塞・がんなどの死亡リスクが低下
・加工肉を植物性タンパク質に置き換えると総死亡リスクが46%低下
・不飽和脂肪酸(植物油)が悪玉コレステロールを低下
【参考】動物性・植物性たんぱく質の摂取と死亡リスクとの関連 -国立がん研究センター
野菜や果物などの「植物性食品」が糖尿病リスクを下げる「決め手」に -保健指導リソースガイド
「不飽和脂肪酸」が肥満リスクを打ち消す 悪玉コレステロールを低下 脂肪とコレステロールをコントロール -保健指導リソースガイド
ヴィーガンやベジタリアンにならなくても大丈夫
「肉や魚を使わないベジフード」と聞くと、「ベジタリアンが食べるもの?」と思われるかもしれません。実はベジタリアンにもタイプがいろいろあり、卵も乳製品も食べないヴィーガン、乳製品は食べるラクト・ベジタリアン、さらに卵も食べるラクト・オボ・ベジタリアンなどがあります。
しかし、別にベジタリアンでなくても、ベジフードを生活に取り入れている方はたくさんいます。最近では、厳格にこれは食べない!と無理して線引きするよりも、たまにお肉を控えたり、植物性の食事を意識して摂取する人もおり、フレキシタリアンと呼ばれたりします。
言葉の定義は何にせよ、不足しがちな野菜などをはじめ、いつもより多くの植物性の食べ物を意識して摂取することで、地球の環境はもちろん自分の健康にもよい生活になるのです。
注目すべき植物性の栄養素
植物性のベジフードには、ビタミンやミネラルの他にも、肉や魚とは違った重要な栄養素が含まれています。また、”植物性”だからこそ体に良いとされる栄養素もありますので、ご紹介していきましょう。
タンパク質
”タンパク質といえば肉や魚”というイメージから、ベジタリアンはタンパク質が不足しやすいと思う方もいるかもしれません。しかし、植物性の食べ物からもタンパク質を摂取することができます。例えば、小麦や大豆、ナッツなどの種実類はタンパク質が豊富。多くの肉類と同様、約20%程度です。
豆腐や豆、そしてナッツなど一部の種実類には、食事で摂取しなければならない必須アミノ酸もしっかり含まれています。タンパク質不足を補うためにプロテインを飲む人もいますが、わざわざ人工的なプロテインを取らなくても、実は植物性のタンパク質だけで必須アミノ酸は全て補えるのです。良質なタンパク質といえますね。
もちろん動物性のタンパク質も必須アミノ酸をすべて含みますが、動物性タンパク質だけだと、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取が過剰になってしまいます。植物性のタンパク質の割合を増やすことが、毎日の健康のカギとなるのです。
(※タンパク質が多いナッツや必須アミノ酸については、以下の記事もどうぞ↓↓)
≪タンパク質含有量が多い食べ物は?手軽にとれるナッツで良質なタンパク質をとろう!おすすめナッツやお手軽レシピも≫
鉄分
あまりイメージにないかもしれませんが、植物性の食べ物からでも鉄分を摂取することができます。鉄分は、特に女性で不足しやすい栄養素ですので、意識して補うことが重要です。
また、鉄分は吸収が阻害されやすく、吸収率も重要となります。植物性の食べ物に多い「非ヘム鉄」は、動物性に多く含まれる「ヘム鉄」よりも吸収率がやや劣りますが、ビタミンCと一緒に摂取したり、吸収を阻害するタンニンとの摂取を控えることで、吸収率を上げることができます。
脂質
脂質には、主に肉に含まれる「飽和脂肪酸」と、主に植物に含まれる「不飽和脂肪酸」があります。不飽和脂肪酸としては、オリーブオイルやエゴマ油などが代表的です。その他にも、ナッツなど種実類は不飽和脂肪酸の含有量が多いです。
脂肪や脂質と聞くと悪いものと思われるかもしれませんが、植物に多い不飽和脂肪酸には健康効果が多く、特にコレステロールや中性脂肪の値に良い影響を持つものが多いです。(※不飽和脂肪酸のそれぞれの効果や含まれる食べ物については、以下の記事もどうぞ↓↓)
≪中性脂肪が気になったら…ナッツがおすすめ!コレステロールを下げる方法とおすすめの食べ物のご紹介≫
ナッツには嬉しい栄養がたっぷり!
種実類であるナッツも、ベジフードの重要な原料の1つです。さらに、様々な栄養素をバランスよく摂取できる点も特徴と言えるでしょう。ここからは、ナッツの栄養や効果に注目し、ベジフードとしてナッツを取り入れる利点について考えてみましょう。
ナッツの栄養成分
ほとんどのナッツは、植物の種や実を食用とする種実類です。種子には、これから植物が育つための栄養やエネルギーがたくさん含まれており、そのためナッツは栄養素が豊富なのです。
代表的な栄養素としては、ビタミン類、鉄分やカルシウムをはじめとするミネラル、タンパク質、不飽和脂肪酸、食物繊維などがあります。特にカルシウムや鉄分・食物繊維などは多くの人が不足気味と言われているので、栄養補給のためにも摂取すると良いですね。
ナッツの健康効果
そんなナッツには、多くの健康効果があります。もちろんナッツの種類によって栄養素は多少異なりますし、効果も少し違いますが、代表的なものを紹介しておきましょう。
・食物繊維が豊富 ⇒便秘の改善
腸内環境の改善(善玉菌のエサになる)
血糖値を上がりにくくし糖尿病を予防
・不飽和脂肪酸が豊富⇒コレステロール・中性脂肪値の改善
・抗酸化物質も含有 ⇒がんの予防
美容・アンチエイジング効果
・豊富なビタミン ⇒代謝がUPしダイエットにも
・豊富なミネラル ⇒栄養不足を補い、体の不調を整える
料理にナッツをプラス!おすすめレシピ
ここからは、家でもチャレンジできるベジフードをご紹介しておきましょう。今回紹介したナッツは、おやつや間食にはもちろん、料理にも活躍しますよ♪(※ちなみに、おやつにナッツを取り入れる際のポイントは以下の記事もチェックしてみてください↓↓)
≪ナッツの1日の適量はどのくらい?おやつはナッツに決まり!適正量のナッツで美味しく健康に!≫
くるみ入り白和え
伝統的な和食の定番おかずである白和え。すべて植物性の原材料なので、ベジフードと言えますね。こちらのレシピでは、具材にいつものほうれん草・人参に加え、食感として「くるみ」をプラスしました。
くるみは、香ばしさはもちろん、ほんのり渋みもあるためお料理にもなじみやすいです。また、健康効果の高いオメガ3脂肪酸やポリフェノールが豊富なので、健康な毎日におすすめですよ♪(くるみの栄養素については以下の記事もご参考にしてください↓↓)
≪くるみに含まれる栄養素を一挙紹介!健康・美容に効果のオメガ3脂肪酸など注目成分がたっぷり!≫
アーモンドペペロンチーノ
こちらは洋食のベジメニューレシピ。具材がアーモンドだけのパスタ?!と思われるかもしれませんが、アーモンドは食物繊維・カルシウム・ビタミンE・タンパク質・不飽和脂肪酸が豊富です。パスタの栄養価をしっかり上げてくれますよ。(アーモンドの栄養については以下の記事もご覧ください↓↓)
≪アーモンドの効果で健康に!アンチエイジングや美容にも効能が?効果的な食べ方も紹介!≫
レーズンとカシューナッツのグラノーラ
オーツ麦を原材料とするオートミールなどを使ったグラノーラは、朝食におすすめのレシピ。ナッツとともに、ドライフルーツもベジフードにはおすすめです。不足しやすいミネラルやビタミンが豊富ですので、お好きなナッツ・ドライフルーツを取り入れて楽しんでみてください♪
ナッツを味方にベジフードを取り入れてみよう
意外と身近な食べ物であるベジフード。植物性の食べ物に含まれる栄養素は体に良い効果も多く、毎日の健康にも嬉しいですね。栄養豊富なナッツは、植物性の栄養素を摂取するのにぴったりです。無理してヴィーガンになる必要はありません。ただ、ナッツを味方に毎日の生活にベジフードを取り入れてみませんか?
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