Interviewer
ドラフルくん
小島屋店主が誕生した日に、小島屋アメ横店に舞い降りたドライフルーツの妖精。体はレーズン、頭はサンザシ、手足はマンゴーでできている。
小島屋の歴史をぼーっと見守ってきたため、ナッツとドライフルーツの知識に気まぐれが感じられる。このたび店主の「語りたい欲」を実現するコンテンツのナビゲーターに就任。ギュッと甘さの詰まったドライフルーツの妖精なのに、会話はやや辛口(だけどすぐ謝る)。
Interviewee
もみーさん
小島屋店主 小島靖久(通称:もみー)
渡った国は36か国。日本国内45都道府県
食べたドライフルーツ1,100商品以上、ナッツは1,200商品以上。小学生から食べ歩きにはまり、近隣の肉屋のコロッケの食べ比べをしてまわる。好物は、カレー、うなぎ、鮨、汁物。一度はまったものは食べ続ける癖があり、最近では“かた焼きそば” を求めて、週に2〜3回くらい、色んなお店を放浪している。
店主のデーツ感が
変わった日。
— 幻のサクサクデーツ —
こんにちは、もみーさん。何食べてるんですか?
こんにちは、ドラフルくん。今日はデーツを食べています。
デーツ !?
デーツといえば、別名なつめやし。食物繊維とマグネシウムのほか、さまざまなミネラル・ビタミンを豊富に含む栄養価の高いドライフルーツですね!? 美容やダイエットにおススメのほか、登山家やアスリートの愛用者も多いという、あれですね? 美味しいですか?
君は、確かドライフルーツの妖精だったよね? 食べたことないの?
あるにはあるんですが…
もしかして、まだ美味しいデーツに出会っていないのでは?
デーツは砂糖を一切使っていないのに、しっかりとした甘さがあって、ソースとかの食品や、お菓子の素材としても使われているから、いつのまにか食べてるってこともあると思うんですけど、デーツ単体で「美味しい〜」っていう経験が、まだないんすよ、もみーさん。
君は、小島屋のデーツを食べてないんですか。
ごめんなさい.....だからね、ネットショップで買おうかなーと思いまして…今小島屋のサイトを見てました。あれ、でも、なんですかーこれ。ちょっと、もみーさん!
なんですかー?って何ですか、ドラフルくん。
小島屋ホームページのサイト内検索で「デーツ」で検索すると、けっこういろんな種類が出てくるじゃないですかっ! しかも見た目が全然違います!
今頃気づいたんですか。でもいいところに気づきましたね。
お? 私、ナイスですか。
デーツはね、本当に色々な種類があって、食感もさまざまなので、まずは自分の好みのデーツを見つけて欲しいなって思うんですよね。品種・産地で全然違うので。
あ、それって、あれですよね。もみーさんがいつも言ってる「日本人は国産品だと産地にこだわるくせに、外国産のドライフルーツとかの産地はこだわらない人多いよねー」っていうボヤキ...
あ、また人の心の声を.....
すみません....
何度も言うけどね。デーツはね、本当にいろいろな種類があって、それぞれ全然違うので、その違いをぜひ知ってほしいなーと思っているわけですよ。僕も以前は産地とかにこだわらずに「デーツ」っていうひとくくりの感覚しか持っていなかった時期もあったんだけど。
ふんふん。
昔(1990年代後半くらい)はね、小島屋に並んでいたデーツは、アメリカ産とかイラン産の低価格な品種だけだったの。だから僕が初めてデーツを食べたときの印象はまず「甘っ!」。で、そのあと「ふーん」って感じ。
そうそう、そうなんですよね。その感じ、わかります。僕も第一印象は「甘さは濃厚だけど、とりわけ美味しい!って感じじゃないなあ…」という...。
でも僕はね、そのあと「このデーツ、めっちゃ美味しいじゃん!」っていう体験をすることになるわけです。
まさに「デーツ感が変わった、運命的な出会い!?」 的な話ですかっ?
そうそう。
いいですね。早速聞いてみたいですね。「ある日のことでした。」から始めましょうか。
…ある日のことでした。アラブの国のあるところに......
わくわく♥
…あの、普通に喋ってもいいですか。
あれ、そうですか? まあ、いいです。どうぞ続けてください。
サウジアラビア大使館に遊びにいく機会があってね。「もっと日本の人にサウジアラビアを知ってほしい!」みたいな会が大使館であって。そこにびっくりするくらいのデーツが「どうぞ召し上がれ」てな風に置いてあって....多分サウジアラビアの品種なんだと思うけど20種類くらいずらーっと。
20種。サウジアラビアだけでもそんなにたくさんあるんですね、デーツって。全部食べたんですか!?
さすがに全部はね...でも、そのとき色々なデーツを食べて「デーツってこんなに種類があって、こんなに味が違うんだ」っていう体験をしました。
それがもみーさんがデーツに興味をもつきっかけになったってことですか?
そうそうそう。バリエーションの多さにも驚いたけど、何より「本当に美味しいデーツってあるんだなぁ」ってことを知るきっかけになってね。
まさに運命的な?
でもね、実は「何、コレ? うまっ」っていうデーツに、その前に出会ってて。
なんですと?
サウジアラビア大使館に遊びに行く少し前にね、サクサクするデーツに出会ったんです。
デーツといえば柔らかくて、ねっとりしてますよね? サクサクですか?
そうなのクリスピー食感のデーツ !
デーツの実の一部が乾燥して、クッキーっぽくなってるってことですかね。
そうそう! さすがドライフルーツの妖精。 半分はややねっとりしてて、水分の残り方で出てくる独特の食感があるんです。
わー食べてみたいですね。今、ないんですか? 出してください。食べさせてくださいよっ!
ごめんなさい。今はないんです。以前、たまたま小島屋に来た商社の人が持ってきてくれたものでね、中近東の人たちが集まるパーティで、そのサクサクデーツを配ってたおじさんがいたらしくて。その商社の人も美味しくてびっくりして、ウチに持ってきてくれたんだけど出処がわからないから仕入れたくても仕入れられなかったんですよー。
わからないんですかー。そのおじさん気になりますね。
だから、サウジアラビア大使館に行ったときに聞いてみたの。似たようなものはあって、サウジではメジャーな品種ってとこまではわかったんだけどね。
トレビアーン!
でもね、その品種は当時、日本では輸入をしているところがなくて、ルートがまったくなかったの。大使館の人から直接買い付けるわけにもいかないので業者さんを紹介してもらったりはしたんだけど、なんかねー、話が進まなくて途絶えてしまったんだよね。
むーん。そのパーティで配ってたおじさんが独り占めしてるんですかね。美味しいから売りたくないのかもしれないですね…
いや、おじさんの問題じゃないと思うけど....。
そうですか? わっしは怪しいと思いますけどねー。
まあ、でもね。そのときにデーツには本当にたくさんの種類があるということ。たとえばラマダン(イスラム教の断食の期間)が明けるときに食べる専用のデーツがあったり、妊娠しているときに食べる用とか、アラブの国々では昔から生活の中に根付いている、専用デーツみたいなのがたくさんあることがわかって。それはすごく面白かったよ。
いつか、そのおじさん捕まえて、輸入できるといいですね〜「サクサクデーツ」
おじさんは関係ないけどねー。 また食べたいねー。
そして、店主の
デーツ探究がはじまる。
— アメリカ・デーツの旅 —
小島屋のホームページにも載ってますけど、アメリカ行ってましたよね? デーツの旅。
そうそう。サウジアラビアのデーツが美味しかったからね。ちょうど声をかけてくれる人がいて、「アメリカのデーツも食べてみたいなー」っていう好奇心だけで行ってきました。
まー、ちょーど声がかかるなんて、何か持ってますね、もみーさん。
ありがとうございます。カリフォルニアの東南部 “コンチュラバレー”というところへ行きました。
コンチハ。バレー?
コ・ン・チ・ュ・ラ・バ・レー。
ごめんなさい。
そこの砂漠地帯でデーツ畑を運営している会社(デザートバレー社)がありましてね。
商売としてデーツを育てているということですね。
現在も小島屋と取引をしている会社なんですけど、歴史がある会社なので知識が豊富だし、広い畑を持っているので生産量も安定しています。何よりコンチュラバレーで唯一国際安全基準を取得していて、高い安全性と品質管理体制を保持している会社なんですよー。
なるほど。小島屋のアメリカ産デーツはデザートバレー社のものなんですね。
そういうことです。アメリカは、サウジアラビアほど種類はなかったですが、色々なデーツを食べてきました。
もみーさん、現地の人に、日本人で畑まで見に来た人は初めてだから、“日本でカリフォルニアデーツに1番詳しい人” って言われてましたね。
言われました(笑)。
小島屋のオンラインショップで買えるアメリカ産のデーツは「リグレット・ノア」と「マジョール」の2つですね?
そうです。なかでも小島屋が仕入れている「マジョール」は、“ラージ” という、粒が大きく糖度も高い最上級ランクのグレードのものです。収穫量はなんと全体の4%という貴重なものなんですよ〜
なるほど “王様デーツ” と名のつく理由がそこですね。
あとはね、アメリカで感じたことは、デーツを採り入れた料理のバリエーションの豊富さですね。
日本だとそのまま食べるとか、ナッツ入れて一緒に食べるとか、バターと合わせたりとか、お菓子に近い位置にデーツはある印象だけど....
アメリカではサラダに入れたり、肉料理に入れたり...あ、そうそう。ハンバーグの上に刻んだデーツとブルーチーズが乗っている料理、美味しかったっす。
デーツ産地の料理だから、ごく自然に食生活の中に存在している感じですね。
美味しいデーツを知って、その美味しさをたくさんの人に伝えたくなって、デーツの産地に視察に行ったわけだけど、さらに現地では食べ方のバリエーションが豊富にあることがわかって、「もっと色々な料理に使えるのでは?」「もっと他にないの?」って欲が出てきちゃった。
出た! もみーさんの、飽くなき食への探究心! 日本ではまだスイーツとしてのデーツのイメージから、先に行ってないですからね〜
まあ日本でも肉料理に採り入れたデーツを、メニューにして出しているところもあるんだけど、まだまだ少数派。もっと食べたくて自分でも研究したりとか。デーツを小さめにカットしてパンチェッタで巻いて食べると「うんま」ですよ。
あらー、お酒もすすみそうなメニューですね。
アメリカ産だけでなく、小島屋ではイラン産やイスラエル産のデーツもありますからね。いろんな品種があって、いろんな美味しさがあって、食べ方のバリエーションも無限にありそうですね。今度、もみーさんのデーツ料理。ごちそーしてくださいよ♥
がってーん。
※小島屋店主のデーツ買付紀行:詳しくはこちらをお読みください。
王様デーツ(マジョール)[アメリカ産]
デーツ(リグレット・ノア)[アメリカ産]
デーツは“ようかん”に
変換して考えるといいみたい
— 日本人がデーツを嗜むためのコツ —
デーツの味わいって一言で表すとなんですかね? 例えば食べたことのない人に説明するとしたら?
いや、もう、これしかないです「ようかん」ですよね。
ほぉぉぉぉ、わかりやすっ。
砂糖が入っていない、天然の甘さの“ようかん” だね。合わせやすいから、デーツを素材にした和菓子もけっこうあるんですよ。
なるほどぉぉ
あんこの中でも、例えばイスラエルの「キングソロモン」は、「水ようかんに近い触感かな」とか。「マジョールデーツ」だと、水ようかんっていうより「上質な羊羹に近いかな」とか。
羊羹に変換したら、合わせるものも見えてきますね。
そうそう。むっちりした羊羹をうすーく切って、バターもうすーく切って一緒に食べるとめっちゃうまい。 食感の近い「マジョール」とか、「リグレットノア」もバターに合います。
わっしは、ようかんじゃないけど「ラム酒あんこ」にハマったことあります。肉まん・あんまんでお馴染みの某大手メーカーも出してましたね「ラム酒あんこ」。
フルーティーなあんこが好きなのかな。
もみーさんはどんなのが好きですか?
僕は水ようかんが好きなので、デーツもそれに近い食感のものが好きです。だから「キングソロモン種」が好きなの。
なるほどー。わっしの好きな「ラム酒あんこ」に近いデーツはありますかね。
うーん、「ピアロム種」かな。紅茶ととても合いますよ。
ここで僕の「日本人、もっと産地にこだわって欲しい」に立ち帰るんだけど、今ドラフルくんと僕のように、同じあんこでも好みって人それぞれじゃないですか。
ハイそうですね。ワインとかもそうですね。
ワインでも銘柄を覚える人と覚えない人がいるけれど、口当たりの軽い・重い、酸味や渋みの強い・弱いはけっこうみんな気にするよね。
確かに
デーツも同じで、
水分量をみると[しっとり・なめらか・パサッとしている]
食感だと[ねっとり、むっちり、さっくり]
甘さの[重め、軽め、香り]
この組み合わせ(バランス)で区分できるかなと思っています。
デーツに? そんな奥深さがあると? ほんとワインみたいですね。
そうなんですよー。こういうのみんな知らないでしょ? だからね「食感がもっとあったほうがいいですか?」 とか、「甘さがあったほうがいいですか?」とか、「軽やかなほうがいいですか?」って聞きながら、一人ひとりへのおすすめのデーツを探したりしたいんですよね。
もはやデーツソムリエ!?
ハハハ、そんな感じ? だからね、やっぱり産地とか気にすると自分の好きな傾向もわかってくるでしょ? その視点って大事だなーって思うわけです。日本人は舌も肥えていますから。
もみーさん、すごいですねー。いっぱい研究したんですねー。
もちろんですよ。ドラフルくんがさっき「ラム酒あんこ」が好きって言ってたでしょう? フルーティーな味わいが気に入っているのなら、それに近い味わいのデーツをオススメしたわけです。
わー、そうなんですねー。確かに水ようかんにバターは合わせないですもんね。デーツも一緒ってことですね。
そーいうことですねー。
デーツの瑞々しさと、全体のバランスを見ると、お好みのデーツが決まってくるので、選びやすくなると思いますよー。個人的に、日本人受けするのは「キングソロモン」と「マジョールデーツ」だと思ってますけどねー。
「キングソロモン」? デーツの王様と呼ばれているアメリカ産の「マジョールデーツ」とは違うものですか?
覚えましたねー、ドラフルくん。
小島屋ではイスラエル産の「キングソロモン」を取り扱っています。柔らかくてなめらかな口当たりで、水分を感じる軽やかな甘さが特徴です。
まさに水ようかんだ!
「マジョール」はねっとりした食感で、黒糖餡のようなずっしりとした甘さというか。
黒糖餡?
ほら、和菓子屋さんのねっとりとした黒糖羊羹とかあるでしょー。
あー。一般的な羊羹の食感ってことですかね?
そうそう。どちらもそれぞれの良さがあって美味しいです。
もう少し高級な羊羹をイメージすると、ドラフルくんお好みの「ピアロム種」になるかなと。
いやーデーツすごいですね。そこまで味や食感のバリエーションがあるとは。
いや、ほんと、もう、それをたくさんの人に知って欲しくてね。
そーいえば、もみーさん。
料理だけじゃなくて、デーツに合う飲み物とかも探究したんですよね。
よくぞ聞いてくれました。そうなんです。
もみーさん、イチオシのおすすめはなんですか?
「マジョール」と熟成された日本酒(いわゆる古酒)
ひゃー日本酒ですか?
以前ナッツに合う日本酒を、蔵元と探していたことがあって。その場にデーツも持って行ってて、偶然発見しました。あんこに合うものには、デーツも合うんです。もう公式です、コレ。
甘党の人って、お酒のみながら和菓子とか食べますもんね。
コーヒーにも合います。でもビールには合わない
確かに。ビール飲みながらあんこは食べないですね。
もみーさんのお話を聞いていたら、もうホント、デーツの楽しみかたは無限にありそうで、わくわくしてきましたよー。
でしょ、でしょー? だからね、何かできないかって、もう探究が止まらない。
また、第2回デーツの話をやって欲しいです。
やりましょう。やりましょう。ドラフルくん好みのデーツ、このあと小島屋で買って食べてね。
プレゼントはしてくれないんですね....もみーさん.....
ワハハ。美味しいよ〜小島屋のデーツ。
はーい、買いますよー。
よろしくー♥
どうもありがとうございました。